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気ままにコラム:スタジアムと私



 報道受付で取材パスを受け取り、記者室に向かうエレベーターをスルーして関係者用階段をのぼる。窓もなく、無機質で、圧迫感を感じる空間。けれど、この空間に足を踏み入れると、いつも心が和む。そして、ここが自分の居場所であることを強く感じる。「今日も博多の森にあるスタジアムにやってこれた」。ここがあるから自分がいる。この空気を感じることができるから頑張れる。私にとって最も大切な場所だ。

 2階のコンコースに出て、入場ゲートをくぐり、さらに階段をのぼる。最初の視界に入ってくるのは美しい曲線を描いたスタジアムの屋根。つづいて大きく広がるバックスタンドが見えてくる。その階段をのぼりきったところで目に飛び込んでくるのは青い芝生。そしてレベルファイブスタジアムの全景を広がる視界が捉える。「いらっしゃい。今日も来たね」。スタジアムは母親のような優しさを伴って私に話しかけてくる。

 いつもの席に座り、いつものようにフラッグを広げて選手の入場を待つ。やがてフェアプレーフラッグを先頭にピッチの上に登場してくる選手たち。彼らの歩みに合わせるように胸の鼓動が高まっていく。軽いウォーミングアップの後、ピッチ中央で円陣を組むイレブン。その円陣を解くと、センターサークルにボールがセットされる。ピッチに散る選手たちの動きにあわせて、自分も左胸をこぶしで2度、3度とたたく。「勝利を福岡に」。必ず、そう祈る。

 仕事柄、冷静に振舞う。しかし、それもせいぜい10分間が限度だ。隣の席に座る相方へ話しかける声が、どんどん大きくなっていくのが分かる。失点シーンには机をたたき、得点シーンでは両こぶしを突き上げて「よっしゃー!」と叫ぶ。「うるさい奴だなあ」。周りの記者は、きっとそう思っている。けれど思う。ホームで戦う地元のチームを応援するのは当然のこと。それがメディア失格と言われるのなら、甘んじてその言葉を受けたい。

 依頼された仕事を片付けて、もう一度スタンドに足を踏み入れる。誰もいなくなったスタジアムは何も言わない。勝利の喜びも、敗戦の悔しさも、すべてを飲み込んで厳かにたたずんでいる。突き放すような、それでいて全てを知った上で見守っているような、それは子どもの成長を見守る父親のようだ。そんな空気を肌で感じながら、「よし、次だ」とつぶやいてスタジアムを後にする。

 このスタジアムにいつまでも通い続けたい。このスタジアムで仲間とともに戦い、仲間とともにアビスパを支え続けたい。今はただ、強くそう思う。

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