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すべての力をひとつに
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「まだ1回勝っただけ。喜ぶのは今日だけにして、明日からは次の鳥栖戦に向けて練習できるように準備したい」。仙台戦後のミックスゾーンで、そう話していた大久保哲哉。その言葉通り、雁ノ巣球技場では再び緊張感あふれる練習が続いています。連敗中の重苦しい雰囲気はなくなったとはいえ、チーム状況が厳しいことには変わりなく、また、自分たちのスタイルを確固たるものにできたわけでもありません。まだまだやらなければいけないことは山ほどあります。
「勝つことでチームの雰囲気は良くなるし、チームを良くするためには勝つしかない。けれど、勝利したからと言って忘れてはいけないこともあるし、やり続けなければいけないこともある。この前の試合も全然満足はしていない。チームは一辺には変われないし、もっと求めていかなければならない。試合の中で出た課題を練習で改善してこそ次の試合に臨める」。そう話す布部陽功が、最終ラインの後ろから指示を出しながら厳しい表情でボールを配る姿が印象的でした。
もちろん、他の選手たちも危機感は同じです。紅白戦でのワンシーン。ルダンがロングボールを縦に蹴り込むと、「何で練習通りにやらないんだよ、ちゃんとやった通りにやれよ!」と叱責する大きな声が選手の中から起こりました。連敗は脱出したけれども、チームが抱える問題の多くは解決したわけではありません。たったワンプレーであっても、いい加減なことは許さない。とにかく、ひとつ、ひとつのプレーにこだわっていく。その積み重ねでしかチームは変われないということを誰もが認識しているようです。
そして、監督も、スタッフも、選手たちも、自分を変えようと必死に戦っている姿が印象的です。大騒動の末に、現体制でリーグ戦を戦っていくことが決まりましたが、それは現状を容認するということを意味しているのではありません。誰もが求めているものは勝利の2文字だけ。ならば自分たちが変わる以外に手段はありません。自分たちが一つになって戦い、自分たちの力で現状を変えていく。そんな強い意志がピッチから感じられます。
そんな気持ちを形に現したのが前節の仙台戦での勝利だったと言えます。いろんな問題がある中で「チームがやらなければいけないことは何か」ということを示してくれた試合でした。しかし、それだけでは勝ち続けられません。チームの力とは、フロント、クラブ職員、監督、現場スタッフ、選手、サポーター、メディア等々、チームにかかわる人たちの力の総和。難しい状況の中、それらの力をどうやってひとつにするか。いま、それが試されているのだと思います。
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ひとつになったスタジアム
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ぼーっとしているうちに(汗)、仙台戦から3日も過ぎてしまいました。選手たちの思いの全てが伝わってくる素晴らしいゲームに何か書こうと思いつつ、言葉で表現すると、かえって陳腐になってしまうような気もして・・・。まあ、言い訳はこのくらいにして(汗)、久しぶりに更新したいと思います。
戦術だとか、クラブ内のゴタゴタだとか、リトバルスキー監督の去就問題だとか、そんなものを通り越して、ただサッカーを思い切りプレーする、勝利のために、今持っているる全ての力をピッチの上で発揮する、それを表現してくれた試合だったと思います。3バックの後ろにスイーパーを置くシステム。そしてオールコートをマンマークで相手を捕まえる戦術。仙台メディアからは「変わったやり方」と言われてしまいましたが(汗)、そんなことなどどうでもいい。とにかく、選手たちの気持ちが伝わってくる試合でした。
総じて言えば不器用な戦い方だったかもしれません。決して洗練された戦い方でもなく、鮮やかな崩しがあったわけでもありません。ボールを保持しても、仕掛けられずに最終ラインで回すというシーンも見られました。しかし、ひたむきでした。目の前の相手に負けない。ボールを奪われたらすぐに奪い返しに行く。仲間のミスは全員でカバーする。泥臭くキープする。そして、思い切って仕掛ける。とにかく、それを90分間表現してくれました。
攻守に渡って献身的に動き回った大久保哲哉。鮮やかにボールを配った鈴木惇。積極的にエリア内に顔を出した田中佑昌。攻撃的なセンスを発揮した中島崇典。中盤のあらゆる所に顔を出した久藤清一。高い位置に出て行くだけではなく守備にも汗をかいたタレイ。熱い気持ちをボールにぶつけた柳楽智和。仙台の左サイドの攻撃を封じた山形辰徳。これまでの悔しさを払拭しようとプレーした長野聡。胸に秘めた思いをボールにぶつけることで表現した布部陽功。チームのピンチを冷静な判断で救った神山竜一。そして、交代で出場した黒部光昭、久永辰徳、マーク・ルダンも必死なプレーを見せてくれました。
どんなことがあろうと、何が待っていようと、100%の力をピッチにぶつけることで乗り越える。それがプロサッカー選手。彼らの姿はそう語っているように見えました。サポーター団体が応援を自粛する中、自然発生的に起こった拍手が次第に大きくなり、選手交代の際にスタンディングオベーションが起き、そしてロスタイムに起こった手拍子がスタンド全体に広がったレベルファイブスタジアム。そうさせたのは選手たちの気持ちのこもったプレー。ここまでのベストゲームだったと思います。
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クラブの決断
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世間で言われている「3試合の結果」ということではなく、第1クールの結果、内容を見て、解任も致しかたなしと思っていましたが、すでに報道されている通り、クラブが出した結論は「リトバルスキー監督続投」というものでした。C大阪戦では多少なりとも手応えが感じられたとはいえ、課題は山積している中での続投という決断は、クラブを囲む様々な問題を総合判断しての結論だとしても、正直、意外な気持ちで受け止めています。
この結果を受けて、布部陽功、そして久永辰徳は次のように話してくれました。
「ピッチの上で集中してやりたい。その一方で、同じ失敗を繰り返してきたということもあるので、しっかりと話したい。こういう状況だからこそ、ひとつにならなといけない。話し合うことが必要だと思う」(布部陽功)
「ここ数試合、選手が言い分けをしやすい状況にあった。自分はそれは好きではない。それがなくなったので、あとは昇格に向けてひとつ、ひとつクリアしたい。一番つらい思いをしているのはサポーター。彼らに対して、次のホームの試合で勝つのが僕たちの答え。勝利に執着して、ボールを追いかけて、今の流れをホームで変えたい」(久永辰徳)
様々な状況の中での最終決断だったとはいえ、チーム状況が最悪の中、選手たちに監督の去就云々という余計なプレッシャーを背負わせ、さらに仙台との対戦も、その余波の中で戦わなければならないという状況を作ってしまったフロントの責任は重いと言えます。結論そのものはクラブの考えを優先するしかありませんが、どんな結論にせよ、もっと早く出せなかったのかという思いが消えません。優柔不断な対応が3試合を無駄にしてしまったと言っても過言ではありません。
また、14試合を戦っての結果は本当の実力。同じ体制、同じやり方で進めば、同じ結果しか生まれません。今の状況は昨シーズンの東京Vに似ているとも言えなくはないですが、福岡にフッキはいません。続投にせよ、解任にせよ、「何か」を大きく変えない限りチーム状況が変わらないことは明らかで、それが出来なければ、チームはさらに泥沼に陥る危険性があります。そして残念ながら、今のチームには自らを大きく変革させる力はありません。
その中で、この決断を正しいものにするためには、フロントが死に物狂いでチームを変革させる「何か」を起こさなければいけません。しかも、早急に、見える形で。シーズンの三分の一が終わった時点では、時間も、余裕も、説明している時間さえもない。しかも、チームは引き分けさえも許されない状況に置かれています。フロントに求められるのは、チームが迷うことなく力を発揮できる環境を作ること、チームが迷うことなく進めるように最大の後押しをすること、そして勝ち続ける力を与えること。すべてはフロントの態度と行動にかかっていると言えます。
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