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最後は笑顔で

081229_最後は笑顔で

 フィナーレを最高の形で締めくくることは出来ませんでした。残念ながら、準決勝では自分たちの力を余すことなく発揮するというわけにも行きませんでした。けれど、素晴らしい戦いをしてくれたと思います。チームスタッフ・選手たちは、廃部という決定の中で悩み、不安を抱え、ぶつけようのない思いを抱えていたはずです。その中で見つけた、仲間とともにひとつになって全力を尽くすという気持ち。選手たちは、その気持ちに正直に最後まで戦い、チームを支える人たちは、最後までチームを見つめ続けてくれました。

「いろんな人たちが、いろんな気持ちを持ちながら、でも、みんながひとつになったからやれたと思います。私はいつも1人じゃないと思ってサッカーをしてきました。TASAKIの歴史が終わって淋しいですけれども、みんなも同じ気持ちで最後までやっくれたと思います。ここまで来ると、サッカーが好きだからやっていたのか、みんなが好きだからやっていたのか自分の中でも分からなくなってしまいました。でも、仲間という割合が本当に大きかったと改めて感じています」(池田浩美)。

 この日の試合は、INACの素早く、そして激しいプレッシャーに立ち上がりから自陣に押し込まれる展開。何とか粘っていましたが、前へ出るパワーを奪われた中では、思うような試合運びが出来ませんでした。14分にはゴールキックのミスから奪われたボールをプレチーニャに決められ、44分にはクロス気味のボールがゴールに吸い込まれるというアンラッキーにゴールを喫してしまいました。無失点で長い時間を凌ぎたかったTASAKIにすれば、この2失点が全てでした。

 TASAKIらしくないミスが出たり、TASAKIらしくない失点シーンがあったのは、彼女たちに様々な思いがのしかかっていたからでしょう。そのプレーのひとつ、ひとつは仕方がなかったと思います。それでも、前半のロスタイムに記録した山本絵美の追撃弾や、3失点目を奪われて試合がほぼ決まってしまったあとも、粘り強くゴールを目指し、終了間際には最後は下小鶴綾を前線に上げてゴールを奪いに行ったことなど、最後まで諦めずに走るTASAKIのサッカーを見せてくれました。

 試合直後は涙を見せる選手もいましたが、「最後は笑顔で」というキャッチフレーズどおり、サポーターが用意してくれた弾幕の前で笑顔で記念撮影をして、TASAKIの20年の歴史に幕を下ろしました。廃部が決まってからこの日まで、チーム関係者が過ごした濃密な時間は、これまで過ごした人生の中で最も重たかった時間だったに違いありません。今はただ、その時間を過ごすことで見つけた何かが、チーム関係者のこれからの人生の大きな糧になることを願ってやみません。さようなら。ありがとう。そしてまた、どこかのスタジアムで会えることを願っています。

TASAKIベスト4へ。有終の美まであと2つ

私たちのサッカーはまだ終わらない

「魂の戦い」。そんな言葉がぴったりの試合でした。TASAKIの特長である全員の高い守備意識と、どこまでも頑張り抜くサッカーが余すことなく発揮された試合。TASAKIの歴史の中でベストゲームの一つに数えられる試合だったと思います。負ければTASAKIの歴史が終わってしまうという不安とプレッシャーの中での戦いですが、選手たちはもちろん、ベンチも、スタッフも、OGの面々も、そしてTASAKIを支えるすべての人たちが、心をひとつにし、自分たちの力のすべてを出すことだけに集中した結果でした。

 試合は裏のスペースを狙って攻撃的に出る浦和と、高い位置からのプレッシングで浦和の攻撃をつぶそうとするTASAKIが真っ向からぶつかり合う展開。立ち上がりは浦和が効果的に裏のスペースを突く展開が続きます。しかし7分、決まったかと思われた浦和のシュートをゴールライン手前で池田宏美がスーパークリア。これがチームに勇気を与えました。ここからはTASAKIがゲームをコントロールする展開へと変わります。

 高い位置からのプレッシャーで浦和のパスワークを封じたTASAKIは、ラインを細かく上下動させて浦和の裏を狙うプレーも巧みにコントロール。そして、マイボールは大谷未央、坂口夢穂、山本絵美らに預けて全体をプッシュアップし、ゾーンをコンパクトに保って浦和に攻撃するスペースを与えません。そして25分には坂口からのラストパスを大石沙弥香が押し込んで先制。浦和を裏狙いの単調なサッカーに陥れて前半を終えました。

 そして圧巻だったのが後半の戦い方。攻撃力を誇る浦和に対し、守りを固めるのではなく、さらに高い位置からのプレッシングを仕掛けることで抑え込みにかかります。FWが最前線から激しくプレッシャーをかけ、それに続いて1人、また1人とボールに襲い掛かります。ボールをキープするのは浦和。しかし、1人をかわしても、次から次へと、人が湧き出てくるようにボールに喰らいつくTASAKIの迫力に、さすがの浦和もタジタジとするシーンが続きます。

 残り10分を切ってから、ようやく浦和がTASAKIゴール前に迫るシーンが続きますが、ここでもTASAKIの前へ出る気持ちは衰えず。シュートに体を投げだし、常に数的優位を保って1点のリードを守り切りました。「耐え抜いた勝利」というフレーズで、この日の試合を報じた紙面もありますが、耐えたというよりは、前からの守備で相手の攻撃を封じ込めたというのが正解。見事な勝ちっぷりでした。「あと2つ。自分たちのサッカーをやりきって、さよならは国立で笑顔でしたい」(山本)。その視線に迷いは全くないように見えました。

国体女子サッカー 埼玉が4年ぶりの女王に

突破を試みる若林エリ(赤・埼玉)と、それを阻止する池田浩美(青・兵庫)

 秋らしい高い空と、まだ夏の面影が残る強い日差し。国体女子サッカーの最終日は、スポーツの秋にふさわしい天候の下、中津総合運動場で行われました。女子サッカー競技最終日のこの日は、民拍協力者をはじめ、地元の小中学生も応援に駆け付ける盛況ぶり。4日間で4連戦というスケジュールは選手たちにとっては厳しいものでしたが、それでも、最後までボールを追い続ける好ゲームを展開。日本一を決めるにふさわしい決勝戦だったように思います。

 立ち上がりに一気に仕掛けたのは埼玉でした。そして、兵庫の体制が整う前の4分、庭田亜樹子からのパスを受けて左サイドを突破した若林エリからのクロスボールに、中央で待つ窪田飛鳥が右足インサイドで合わせて先制します。しかし、これで目を覚ましたのか、ここからは、兵庫が本領を発揮。主導権を奪い返して埼玉陣内に攻め込みます。兵庫のプレッシャーは時間が経過とともに強まり、後半に入ると、ほぼ兵庫のハーフコートゲームに。兵庫に1点が生まれれば、一気に方がつく気配が漂います。

 しかし64分、埼玉は一瞬の隙をついて前へ出ると、岩倉三恵とのワンツーでゴール前に抜け出した庭田が鮮やかなゴールをゲット。これで試合が決まりました。埼玉の足が完全に止まりかけていましたが、気力を振り絞って前へ仕掛けたところで勝負がありました。最終スコアは2-0で埼玉。4年ぶり2度目の優勝を遂げました。敗れた兵庫は、不用意に与えてしまった早い時間帯での先制点と、いまひとつの精度に欠いてシュートまで持ち込めなかったことが、最後まで響いたように思います。

 そして、決勝戦に先立って行われた3位決定戦では、堤早希に徹底してボールを預ける三重が主導権を握って試合を進めました。堤の変幻自在なドリブルと、センスあふれるパス出しに岡山は対応できず。70分間にわたって守備に追われる時間を過ごしました。しかし、勝ち名乗りを挙げたのは岡山。宮間あやの正確無比なキックに、田中静佳が58分に、城地泰子が64分に、それぞれ長身を活かしたヘディングシュートを決めて2点をゲット。悪い中でも自分たちのストロングポイントを生かして3位の座を手に入れました。

 さて、国体は出場資格が厳密に制限されているため、単独チームを組めるところもあれば、選抜チームを編成して臨むところもあり、また、なでしこリーグを持つ県もあれば、そうではない県もありと、それぞれの状況には差があります。それでも、どんな時でも、ひたむきにボールを追う姿勢は全チームに共通する姿勢。そんな彼女たちのサッカーに浸ることができた、非常に有意義な4日間でした。詳細の試合レポートについては、明日から2002world.comに順次掲載しますので、是非、お楽しみください。

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