フットボールな日々
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中倉一志

Author:中倉一志
Jリーグ登録フリーランスライター
福岡に住み、アビスパ福岡をはじめ九州のサッカーを中心に取材活動を続けている。「サッカー」と名前さえつけば、どんなカテゴリーでも見ることを信条としている。

[掲載媒体・出演番組等]
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 サッカー専門新聞「EL GOLAZO」
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 Jリーグファンサイト「J's GOAL」
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 他、多数

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4度目のW杯への手がかりは掴めたか
最終予選突破の手かがりは掴めたか

 昨日は関東地方も雨。その中でW杯アジア3次予選最終戦を見てきました。結果は、誰もが予想もしなかったばかりか、本人でさえびっくりするようなゴールで日本の勝利。結果としてアウェーでの敗戦のリベンジを果たし、日本が3次予選を首位で突破することになりました。久しぶりに足を踏み入れたスタンドで味わったファン・サポーターの熱狂は、プロになっても忘れてはいけないものがあるのだと改めて感じさせてくれました。いい時間が過ごせました。

 さて、日本は誇りにかけて勝つという姿勢で臨んだようですが、やはり、結果が何も及ぼさない試合は、W杯予選特有の、生きるか死ぬかといったような緊張感とは程遠い試合。特に、大幅にメンバーを落としてきたバーレーンは、アウェーで対戦した時の緊張感あふれるチームとは全く違うチームでした。日本は何も恐れずに戦っていましたが、国の誇りがかかる最終予選は親善試合とは全く別物。この日の内容は、あくまでも参考程度と考えたほうがいいように感じました。

 試合を見て感じたことは、日本のボールを奪うスタイルがチームの中に浸透したということです。特にボールを失った後に、素早くプレスをかけ返してボールを囲みこむスタイルは、岡田ジャパンになってから変わらずに見られる傾向で、この部分では自分たちのやり方が非常に定着してきたなという印象を強く受けました。そして、セットプレーかぎ大きな武器になりつつあるということ。この日も何度もチャンスを作っていました。

 その反面、やはり流れの中からの崩しという点では物足りなさを感じました。いい形からの崩しも見られましたが、それでも相手の前で横パスをすることが多いように思います。ほとんどの決定機は、2列目からの飛び出しや、スペースへ飛び出すことで相手をひきつれてできるスペースを使ってのものでしたが、こういう形をしつこく、そして徹底して繰り返すことが必要ではないかと思います。FIFAランキング下位のチームの準レギュラー組に対して、あのゴールしか奪えなかったという現実を厳しく見ておく必要があると思います。

 W杯最終予選を勝ち抜くのは簡単なことではありません。本当の厳しさを味わうのはこれからです。「本来みんなが持っているはずの腹の底にあるものを呼び戻して欲しいという部分で、完全とは行かないまでも、それが少しずつ出てきたことは収穫だった」と岡田監督は3次予選を振り返りましたが、それが全面に出るようになって初めて最終予選を戦えるチームになります。最終予選までの3カ月弱の期間で、それをどこまで追求できるか。それが4度目のW杯への鍵になるように思います。


第3次予選突破へ第一歩
3次予選突破へ第一歩

 アウェーでバーレーンに敗れたことで注目を集めていたW杯3次予選のオマーン戦。簡単な戦いではなかったはずですが、ふたを開けてみれば3−0の快勝。「今日は日本が勝者としてふさわしい内容だった。ゴールというのは様々な戦術や戦略を組み立てて決めるものだが、そういう意味で日本はよかった。我々もがんばったが、早い時間に先制されたことが我々の敗因だったと思う」。フリオ・セサール・リバス・ブラオビッチ監督(オマーン代表)も脱帽せざるを得なかったようです。

 W杯予選突破を意識した、現実的で冷静な、そして巧みな試合運びだったと思います。親善試合で見せた長友佑都の大胆なオーバーラップや、駒野友一の攻撃参加は、やや自嘲気味ではありましたが、それも計算づくのこと。まずは失点しないことを意識しつつ、それでいてきっちりとゴールは奪う。FIFAランキングでいえば格下の相手とはいえ、W杯予選という何が起こるか分からない舞台で、見事なまでにゲームをコントロールして見せた日本代表にたくましさを感じた1戦でした。

 ハーフウェイライン近くまで引いて日本の出方を窺うオマーンに対し、不用意に攻めずにしっかりとボールを回し、時折、縦に楔のボールを打ち込んではジャブを放ち、そしてチャンスと見るや、瞬時にスピードを上げてゴールを目指す。攻めに出る時と、ポゼッションに徹する時のコントロールが見事でした。そして、岡田ジャパンの特長である奪われた後の守備への切り替えの速さが随所に出た試合でもありました。ミスも少なくなかった試合でしたが、この守備意識の高さが試合展開を安定したものにしていました。

 それでも90分間にわたってゲームをコントロールするのは難しいもの。前半の早いうちに2得点を挙げたことで、前半の終盤はややこう着状態に陥りましたが、「少しボールの動かし方が遅くなったのと、11番を離し気味でプレッシャーがかけられなくなったのでHTでそれを修正した」との岡田武史監督の言葉通り、後半の立ち上がりに高い位置での連動したプレスでボールをリズムを修正。この切り替えも見事でした。岡田監督はいくつかの課題を口にしましたが、まずは満足のいく内容だったと思います。

 さて、それでもまだ3次予選突破が決まったわけではありません。各メディアは山は越えたとの報道をしていますが、最後まで何があるか分からないのが国際試合であり、W杯予選。突破が決まるまでは安心できる瞬間はただの一度もありません。ましてや、この日のオマーンは怪我や、出場停止で主力選手の多くを欠く布陣。週末に戦うアウェーマーン戦は、この日の試合とは全く違う性質のものになるはずです。新たな気持ちと、目の前の一戦にすべてをかける精神で戦ってほしいと思います。


バーレーン戦に思う
 完敗だったな。試合を見終えた後に感じた率直な印象です。日本が自分たちから仕掛けたのは前半の10分過ぎに見せた、高い位置からのプレスでボールを奪ってゴールを目指した10分間くらいの時間帯だけ。どこで勝負をするのか、何をしたいのか分からないままに進む試合に、このままだとやられるなと感じながらTV画面を見つめていました。それでもハーフタイムを挟めば目が覚めるだろうと思っていましたが、後半直後の大ピンチ。これが代表チームなのだろうか。そんな思いさえ感じました。

 正直に言って、私にはバーレーンはそれほど強くは感じられませんでした。特にTV画面を通して見る最終ラインは決して安定しておらず、そこへプレッシャーをかけていけば活路は開けそうにも見えました。ただし、絶対に勝つという気持ちは明らかにバーレーンが上。のらりくらりと戦っているように見えながら、気が付いて見れば、いつの間にやら試合はバーレーンの思う通りの展開に。日本は前半の20分過ぎに相手の術中にはまり、その後は、どんどん、どんどん深みにはまっていったように見えました。

 それでも、バーレーンの選手たちが足をつらせ始めたときには、まだ日本にもチャンスが残っていたかと思いましたが、この時間帯にも日本は仕掛けない。動けない相手の前でゆっくりとパスをつなぎ、サイドからクロスを入れるばかり。形にこだわっているというか、それしか選択肢がないというか。気迫だけで勝負が決まるとは言いたくありませんが、日本のプレーからは、W杯をかけた戦いであるという緊張感は、私にはあまり感じられませんでした。

 両チームの試合にかける思いの差が表れたのが、バーレーンの得点シーンだったように思います。すでに動けなくなっていたはずのバーレーンが、ここぞとばかりに全力疾走を見せ、しかもラインぎりぎりから上げたクロスボール。それに対して、プレーを止めようとしたように見えた日本。中途半端な川口の飛び出しは、彼自身の判断ミスというよりも、日本代表の姿勢が集約されたプレーだったようにも感じます。ゴールの瞬間に感じたのは、やられた悔しさよりも情けなさ。それまでの流れを見ていれば、当然の帰結と言えるゴールだったからです。

 私が愛読する某紙には、早速、岡田監督を批判する記事が掲載されました。でも、はたして岡田監督の采配やチーム運営だけに問題があったのでしょうか。試合全体を通して漂っていたゆるい雰囲気は、それ以前から代表チームが醸し出していた雰囲気。北京行きを決めたU-23代表からも感じられた雰囲気と同じものでした。W杯出場後、様々なところで指摘されてきたことですが、日本サッカーは世界でも類を見ない急速な進歩を果たした反面、大切な何かをなくしたような気がしてなりません。

 この1敗は単なる1敗では済まないように感じます。しかし、戦いはリーグ戦。厳しい立場であることは間違いありませんが、1敗で全てが決まるわけではありません。それはフランスW杯予選で日本中が経験したこと。その財産が、代表チームにも、メディアにも、サポーターにも残っていることを信じたいと思います。