転換期を支える日常の風景

何とも言いようのないまったりとしたスタートになった鳥取戦でしたが、高橋泰、坂田大輔の2トップで演出したゴールが、ゲームの流れを完全に変えてしまいました(ゲームの詳細につきましては、J's GOAL をご覧ください)。当たり前のことではありますが、やはりサッカーにおいては、「決めきる力」が全てを支配するのだということを改めて感じた試合でもありました。これで5試合を終えて3勝1分1敗。「3月で勝点10」がチームの最低の目標だったようですが、まずまずのスタートを切れたと思います。
さて、毎日のトレーニング、そして試合を通して、今年のチームには、過去にはなかった独特な空気を感じています。リラックスしているわけではなく、けれど、ピリピリと張り詰めた緊張感があるわけでもありません。だからと言って、程よい緊張感と適度なリラックスが入り混じった状態とも違います。上手く表現できませんが、そうしたものを越えた、何かを悟っているような自然体の空気。集中はしているけれど、相手に殺気を感じさせない空気。そういうものが雁の巣球技場を包み込んでいます。
「チームが勝利するために何をなすべきか」。これは前田浩二監督が、就任以来、選手たちに求めるチームの規範ですが、その徹底が今の独特な雰囲気を作り出しているように思います。その実践のため、選手たちはとにかく話し合っています。トレーニングメニューのインターバルで話し合うのは当たり前。紅白戦の合間には、ピッチのあちこちに2~3人の輪ができて、身振り、手ぶりを交えて問題点を確認し、どうすればいいのか意見を出し合う姿を見ることができます。
日常的に、場所を選ばず、そして自然体で話し合う。誰かの意見を中心に会話がされるのではなく、1人、1人が意図すること、要求したいことを伝えあい、その中から何かを見つけようとする。過去のシーズンでも、選手同士が話し合うことは当然のようにありましたが、これほどまでに、ごく当たり前に話しあっているのは、私が練習を見るようになってからは初めてのことです。
J2で優勝してJ1に昇格すること。そのために1人、1人が何をすべきかを考えること。それを実践に移すこと。日々のトレーニングを常に100%の状態で行うこと。それらは、今の選手たちにとって特別なことではなく当たり前のこと。当たり前のことを当たり前にやるという意識が、緊張感や気負いを消して、悟りの境地のような空気を醸し出しているのかも知れません。試合毎にチームが前進しているのを感じられるのは、こうした日常があるから。転換期にある福岡は、確実に新しい道を歩んでいます。
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