フットボールな日々
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中倉一志

Author:中倉一志
Jリーグ登録フリーランスライター
福岡に住み、アビスパ福岡をはじめ九州のサッカーを中心に取材活動を続けている。「サッカー」と名前さえつけば、どんなカテゴリーでも見ることを信条としている。

[掲載媒体・出演番組等]
 KBC(九州朝日放送)テレビ・ラジオ
 天神FM「バモス・アビスパ」
 週間「サッカーマガジン」
 サッカー専門新聞「EL GOLAZO」
 アビスパ福岡イヤーブック
 Jリーグファンサイト「J's GOAL」
 sports navi「コラムコーナー」
 online magazine 2002world.com
 他、多数

お仕事のご依頼がございましたら、是非お声かけ下さい >>> mail to



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キーワードは我慢


 3日は国立競技場へ。恒例となっているナビスコカップ決勝戦取材へ行ってきました。関東勢同士の対戦ということもあってチケットは完売。千駄ヶ谷駅周辺は昼前から賑わいを見せ、開場と同時に両ゴール裏は埋まってしまいました。試合前に両サポーターがゴール裏に描いた赤と黒、サックスブルーと黒のストライプは、それぞれのサポーターのタイトルにかける思いが伝わってくるもの。毎年感じることですが、やはり日本一を決する舞台は最高の雰囲気で包まれていました。

 さて、不利と言われていた戦前の予想を覆して優勝を果たしたFC東京。勝因は「ふたつの我慢」でした。ひとつは川崎が使えるスペースを消すために、相手に喰いつかずに3ラインを作ってコンパクトに保ち続ける我慢。もうひとつは、マイボールになった時に、攻め急がずにつなぎ直す我慢。立ち上がりは前へのアグレッシブさが逆に川崎にスペースを与えることになっていましたが、先制点を奪ってからは、狙い通りに「我慢」に徹する戦いを展開。計算されつくした勝利だったように思います。

 また、後半の途中から一方的に攻め続ける川崎の攻撃を跳ね返し続けた我慢も、もうひとつの勝因だったと思います。出色だったのはGK権田修一のプレー。ファインセーブでゴールを死守した場面はもちろん、何度も入ってくる川崎の際どいクロスを判断良く弾き返し続けたプレーに「ハイボールはほとんどジャッジミスがなかった」と城福監督も合格点を与えました。20歳という若さながらリーグ戦にフルタイム出場を続ける実力は見事。MVPは米本拓司が受賞しましたが、それに劣らぬ活躍だったと思います。

 そしてもう1人、MVP級の輝きを見せたのが平山相太でした。自身のゴールを含め2得点に絡んだだけではなく、前線での献身的な守備は仲間の守備負担を軽減し、巧みなポジショニングでマイボールを高い位置に引き出し、そのボールをしっかりとキープすることで、チームが体制を整える時間を作り続けました。城福監督は、川崎Fの攻撃を0点で抑えたこと要因を「後半、マイボールになったときに攻め急がずに自分たちの時間を作りながら休めたことが大きな原因」と話しましたが、それも平山の働きがあってこそでした。

 一方、敗れた川崎Fの関塚監督は、記者会見で悔しさを隠しませんでした。2年前にG大阪に敗れた時に、自分たちのサッカーは見せられたこと、G大阪が1枚上だったことを話した姿とは全く別な姿。それは、この2年間で川崎Fがタイトルを取るにふさわしいチームに成長したことの自負から来るものだったと思います。この悔しさを、リーグ戦と天皇杯で、どのように表現するのか。川崎Fのこれからの戦いから目が離せません。

【更新情報】
 09.11.02 J's GOAL:地域とともに
 09.10.29 2002world.com:プレイバック「トキめき新潟国体」サッカー競技女子の部 その4


アンクラス、入替戦へ。昇格まであと2つ
この日、貴重な決勝ゴールを挙げた花田亜衣子。「入替戦は今のメンバーで戦える最後の試合。今のメンバーで昇格したい」と話す。

 ひとつ、ひとつのプレーから伝わってくるサッカーへの思い。最後まで走り抜く気持ち。そして、絶対に勝つという気迫。オレンジのユニフォームに身を包んだ選手たちは、「これぞアンクラス」という試合を見せてくれました。スコアは1−0。堅守を誇る清水第八プレアデスの前に中々ゴールを割ることが出来ず、攻め込まれる時間帯も多い試合でしたが、彼女たちのDiv.1昇格への思いが伝わる試合でした。最終順位は3位。アンクラスはスペランツァ F.C.高槻との入替戦に、Div.1昇格をかけることになりました。

「伊賀戦が終わってから、テンションとか、モチベーションが、なんかこう難しい2週間でした」(川村真理)。
 2試合を残した段階で首位・伊賀と勝点2差の2位。3位の狭山とは同勝点ながら得失点差でリード。残る対戦相手と、最終節で伊賀と狭山が潰し合う日程を考えれば、アンクラスはDiv.1昇格切符を握ったと言える状況でした。しかし、初めて具体的に見えたDiv.1の扉は、彼女たちの心から平常心を奪い去ります。そして、ジュ・ブリーレ鹿児島にまさかの敗戦。気がつけば、掴んでいた切符は手元から消えていました。

 何よりも大事にしなければいけないものを落とし、入替戦への出場がほぼ確定的になった中で戦う最終戦。そこへ向けての準備も、試合に臨むモチベーションも、非常に難しかったはずです。けれど、彼女たちはもう一度這い上がってきました。
「立て直そうという気持ちで1週間走り続けたし、もう1回やり直した」(河島美絵監督)
 最終戦を何となく戦うのなら入替戦での勝利など望めません。彼女たちは、ギリギリのところで、再び昇格を目標にするにふさわしい姿を取り戻していました。

「正直に言えば優勝したかったです。でもそれも現実。それに、これまで入替戦の権利すら取れなかったことを考えれば、入替戦に出ることはチームにとっては大きな意味があると思います。今はポジティブな気持ちです。後は高槻を倒すだけ。焦点をそこに持っていくだけです」。そう話す川村の表情には1点の曇りもありません。様々な思いを積み重ねてきた1年間。その締めくくりとして、自分たちの力の全てをぶつけることだけに集中しているようです。

 そして、この日、貴重な決勝ゴールを挙げた花田亜衣子は、入替戦に向けての思いを次のように話してくれました。
「監督、スタッフ、選手、アンクラスの素晴らしいメンバーとサッカーが出来る時間が増えて、すごく幸せなことです。みんなも気持ちは切り替わっているし、今シーズンに積み重ねてきた全てをかけて最後まで戦い抜いたら絶対に昇格できると思います。いまのメンバーで昇格したいという気持ちが強いし、いまのメンバーで戦える最後の試合と捉えて戦おうと思います」

 残る試合は後2つ。最後は笑って喜びを分かち合ってほしいと思います。


力の差を痛感させられた試合


「あわよくば」の思いで臨んだ1戦でしたが、ただ、ただ、力の差を感じた試合でした。出来が悪かったわけではないけれど、良かったわけでもない。実力差通りの内容と結果に、自分を納得させるしかない試合でした。立ち上がりの鹿島の攻撃を凌ぎ、15分を過ぎたあたりから、どことなく天皇杯特有の、上位チームがやりにくそうにプレーする気配が漂ってきたように感じたのですが、そんな時間帯に失った1点。これで勝負が決まってしまったように感じます。

 鹿島に奪われた1失点目は自陣での相手スローインからつながれたもの。2失点目はゴールキックがこぼれたところからスルーパス1本で崩され、3失点目はCKからの失点。いずれも、特に流れが悪かったわけではありませんでしたが、実にあっさりとやられてしまいました。失点シーンに関し、篠田善之監督は「鹿島の一瞬の隙を逃さない質の高さ」「リスク管理や早めの準備をしておけば防げた失点」と、ふたつの側面を挙げていましたが、もう少し、やりようがあったように思います。

 選手たちは、鹿島の寄せの速さと強さ、守から攻への切り替えの速さを口々に話していましたが、見ている以上に、肉体的にも、精神的にも、強いプレッシャーを感じながらプレーしていたのでしょう。それは選手たちの集中力を高めさせることにもなりましたが、同時に、プレーが切れた時にスッと力が抜けてしまう状況を作り出してしまったのかもしれません。悔やむというよりも、今の福岡の状況と、J1で優勝争いを繰り広げているチームとの差が如実に感じられた失点シーンでした。

 後半は、結果として無失点で終わりましたが、内容的には前半の方が戦えていたと思います。つなぐ気になったら、どこまでもボールは渡さないと言わんばかりのパスワークと、効果的に繰り出されるサイドチェンジ。そして、穴が出来たと見るや、素早く縦に入れてチャンスに結びつける。そんな鹿島のパスワークに翻弄され気味で、もう少し鹿島の状態が良かったら失点していたであろうシーンが随所に見受けられました。失点しなかったのは、鹿島側の問題だったと思います。

 試合を終えてロッカールームを出てきた選手たちの表情からは、やりきった感は見えませんでした。負けてしまったわけですから、それも当然と言えば当然ですが、あからさまに感じさせられた差に、自分たちが置かれている状況を改めて強く意識しているように見えました。終わってしまった試合を取り戻すことはできませんが、それを自らの成長の糧にすることは出来るはず。それを実行することが、この試合を意味のあるものにする唯一の手段だと思います。