フットボールな日々
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中倉一志

Author:中倉一志
Jリーグ登録フリーランスライター
福岡に住み、アビスパ福岡をはじめ九州のサッカーを中心に取材活動を続けている。「サッカー」と名前さえつけば、どんなカテゴリーでも見ることを信条としている。

[掲載媒体・出演番組等]
 KBC(九州朝日放送)テレビ・ラジオ
 天神FM「バモス・アビスパ」
 週間「サッカーマガジン」
 サッカー専門新聞「EL GOLAZO」
 アビスパ福岡イヤーブック
 Jリーグファンサイト「J's GOAL」
 sports navi「コラムコーナー」
 online magazine 2002world.com
 他、多数

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明日は九州ダービー
ロングボールを競り合う大久保哲哉と長野聡

 鳥栖との九州ダービーに向けての準備に費やした1週間。福岡は前節から取り組んだ4−3−2−1のシステムの精度を上げることに重点を置いてトレーニングを積んできました。戦術上の問題を事細かに書くことは避けたいと思いますが、修正できた部分もあれば、見えてきた課題もあり、まだ十分にこなれているとは言えない状況にあります。しかし、新しいシステムが機能するためには、一定の時間が必要なのは覚悟の上。課題と付き合いながら、結果を求めるしかありません。

 鳥栖との対戦ということで考えれば、ハーフナー・マイクをターゲットにシンプルに蹴ってくるロングボールにどう対応するかが最大のポイント。絶対的な高さを持つマイクに競り合いで互角に渡り合うことは難しく、ボールの出し手のプレーを制限し、思うようなボールを上げさせないことが必要だと思います。ボールの取りどころと、プレッシャーをかけに行く場所とタイミングをどこまで明確にできるか。そこが勝負を分ける大きな鍵のひとつだと思います。

九州ダービーに向けてのトレーニングは、豪雨の中のインターバル走で始まった
激しい競り合いは、何としてでも苦しい状況を脱しようとする思いの表れ
 セカンドボールに対する対応もポイントのひとつ。ロングボールへの対応を怖がってラインを下げてしまえば、豊富な運動量を武器にする鳥栖に支配されるのは明らかで、かつ、2列目から飛び込んでくる相手を捕まえることも難しくなってしまいます。

 守備の安定のためにファーストディフェンダーを明確にすることに力を入れている福岡ですが、同時に、相手の中盤に対するマーキングを、誰が、どのように対応するのかを明確にしておく必要もあります。

 攻撃面で鍵を握るのは、2列目に並ぶ城後寿、高橋泰、田中佑昌の3人の動きにあります。自由にポジションチェンジをしながら、相手の背後に飛び出していくことが狙いのひとつですが、前節は互いの連携に課題を残したことに加え、鈴木惇が攻め上がったときにプレースペースがないという課題も見えました。昨日のトレーニングでは、3人の流動的な動きが感じられるようになってきましたが、本番でどこまで機能するかに注目したいと思っています。

 そして、最大のポイントは、全体の運動量、走る質、局面での攻防で相手を上回ることにあると考えています。いまだにチームとしての約束事が明確にできない部分を多く持つ福岡にとって、それをカバーするために、サッカーの原点ともいうべき部分を徹底して追求することが必要です。そして、特別な試合であるダービーは、結局のところ、その部分で勝った方が勝利を手にします。上手くいかないことに気を奪われるのではなく、泥臭く勝利を目指す気持ちを、体中から表現するような試合をして欲しいと思っています。

苦しい時こそ頼りになるのはベテランプレーヤー。久藤も一味も、ふた味も違うプレーが光る。 アレックスも好調をアピール。九州ダービーへの出場を狙う。 城後寿の攻撃的な特長を生かすのも、4−3−2−1の狙いの一つ。

【更新情報】  07.02 J's GOAL J2日記:福岡への恩返し


システム変更も・・・


 東京V戦で取り入れた4−2−3−1のシステムは、機能したところもあれば、上手く回らなかったところもあり、結局、勝利を呼び込むことはできませんでした。選手たちは個々の役割がはっきりしたこと、シンプルに攻めるという約束事が出来たことで、やりやすさと手応えを試合前に口にしており、本番でどこまでやれるかに注目していましたが、苦しい状況が変わらなかったばかりか、閉塞感を覚える試合でした。

 暑さと連戦の疲労で東京Vが本調子ではなかったとはいえ、守備面では改善点も見られたように思います。この日の狙いは、2列目の両サイドにファーストディフェンダーとしての役割を与えることで、これまで不明確だった守備における最初のアプローチを明確にし、その動きにボランチとSBが連動してサイドへ追いこんでボールを取るというもの。立ち上がりの時間帯は、プレスを避けて大きく蹴ってきたボールを最終ラインで奪ったり、狙い通りにサイドで囲い込むシーンも見られました。

 ただし、攻撃には大きな問題が残りました。攻撃における狙いは、中盤で手間をかけずにシンプルにボールを前線に預け、大久保哲哉を起点にして2列目の3人がポジションチェンジをしながら、相手の最終ラインの裏へ飛び出していくというもの。しかし、2列目の3人は積極的にポジションチェンジする姿勢も、裏へ飛び出していこうとする動きもなく、後方から大久保にボールを集めようという意識も徹底されていなかったように思います。

 また、試合後に鈴木惇が「迷っていた」と口にしたように、ボランチの役割が徹底されていなかったことも大きな問題でした。狙いとしては丹羽大輝が中盤でのつぶし役、鈴木がボールを配給する役を担うはずでしたが、奪ったボールが集まってきたのは、むしろ丹羽の方でした。

 上手く出来なかったことよりも、やるべきことをやろうとしなかった姿勢に大きな失望を感じています。中2日のトレーニングでは準備不足があったとはいえ、選手たちにとってはやりやすさを感じていたはず。やろうとして失敗したのならともかく、失敗を恐れているかのように動き出さない。ゴールへシンプルに向かわない。これでは、いくらトレーニングを積んでも同じことです。やることを明確にしたにもかかわらず、それを徹底して実行できない。この姿勢こそが福岡の最大の問題のように思います。

 次節の鳥栖戦に向けて、新しいシステムの問題点を整理することはもちろんですが、それを試合の中でやり切るメンタルがなければ結果は同じこと。現在の状況は自らが引き起こしていることであることを強く認識して、1週間を過ごしてほしいと思っています。


繰り返される現実に思うこと


 なんとも言いようのない試合でした。立ち上がりから一方的に押し込まれる展開も、何とか無失点で頑張っていましたが、致命的なミスからゴールを奪われるという、いつものパターンで失点。その後もミスを繰り返して失点を重ねる最悪の展開でした。この試合も、いつもと同じ繰り返し。しかも、その程度がどんどん悪化する現状に、チームはどうしようもない状況に陥ったように感じました。

 今の福岡は複数の問題を抱えています。チームの約束事が徹底されていないという当初の課題は、それを繰り返しているうちに個人戦術の部分に派生して、個々のプレーが戦う以前の問題というレベルにまで落ち込み、チームの形云々とは全く別の次元でチームとして成り立たなくなってしまいました。勝負の世界では必ずしも思うような結果が得られるとは限りませんが、J1昇格を具体的な目標にするチームとは信じられない低迷ぶりに、ただ、ただ、困惑するばかりです。

 練習を重ね、23試合を行っても同じことを繰り返す現状は、もはや個々の意識レベルの問題ではなくなってしまった、そのように感じます。練習でも、試合でも致命的なミスを繰り返すという現実を見る限り、「やるべきことが出来ていない」のではなく、残念ながら「自分たちの力はそこまでしかない」と判断すべきで、まずは個人戦術レベルをJ2で戦えるところまで上げることから始めるしかないと感じています。その上で、チームとしての戦い方を改めて見直し、それを個々の選手に徹底するという3つの段階を経ることが、チーム再生のためには必要だと思います。

 チームが何も手を打っていないとは思いません。練習内容に工夫を加えたり、練習や試合に臨む意識を変えようと努力しているとも思います。しかし、それが結果にも、内容にも全く反映しないばかりか、改善の兆しも見えず、むしろ悪化傾向にあるという現実は、向かっている方向が正しくない可能性を示唆しています。今までの延長線上で考えるのではなく、これまでのことを一度クリアにして、全く違った観点からアプローチする必要があります。

 6か月をかけて準備してきたことをクリアにするのには勇気がいるかもしれません。しかし、今はそんなことを言っている場合ではないと感じます。今までの延長線上で物を考える限り、今シーズン中に大幅な改善を見込むことは難しく、そればかりか、来年以降につながるものを残せない1年になってしまいかねません。立場を超えて、それぞれが思っていることを全部吐き出して、耳の痛い話にも耳を傾けて、そして、違った観点で明日からのことを考えること。現体制を継続するのであれば、まずは、そこから始めるべきではないかと思います。